Pachypodium decaryi
パキポディウム・デカリー
つるりとした肌のパキポディウムです
マダガスカル中部の標高の低い地域に分布し、1922年に記載された比較的古くから知られている種です。
種小名の 'decaryi' は、マダガスカルのあらゆる分野の研究を行ったフランスの博物学者、“レイモンド・デカリー”(Raymond Decary)にちなんで命名されました。
ちなみに彼の名が与えられたマダガスカル産植物は多肉植物だけでも相当な数があります。
長く伸びる枝が特徴の中型種で、成長すると塊根の直径40cm、高さ2mほどの大きさにまで成長します。
他のパキポディウムと大きく異なる点としては、その滑らかな表皮です。
多くのパキポディウムは小株のうちから全身に鋭いトゲを生やす種が多いのですが、パキポディウム・デカリーは小株のうちからほとんどトゲが生えず、ツルっとした肌をしています。
一見すると同じキョウチクトウ科の塊根種、アデニウムと見間違えてしまいそうです。
また、ある程度の大きさに成長すると白く大きな大輪の花を咲かせます。
緑がかった表皮の長い枝から、白い花が咲く様子は他のパキポディウムにはない、なんとも滑らかな印象があります。
パキポディウム・デカリーは人口密度の高いマダガスカル中部が自生地のためか、現地では焼畑農業による壊滅的な被害を受けてしまい、現在では厳重に保護されているようです。
'Pachypodium rosulatum var. gracilius'(象牙宮)や、
'Pachypodium brevicaule'(えびす笑い)とはまた違った独特の魅力のある種でもあります。
【科・属】
Apocynaceae Pachypodium
キョウチクトウ科パキポディウム属
【原産地】
マダガスカル中部
【置き場所】
一年を通して直射日光のよくあたる場所で管理します。
パキポディウムの仲間を栽培する上で日光はとても重要です。
日光が不足すると幹や枝が徒長しやすくなり、日光不足の状態で長時間栽培すると根腐れを起こしたり、株の内部から腐敗しやすくなります。
特にパキポディウム・デカリーは寒さに弱いので、冬場でも日光のよく当たる場所で管理し、寒さに当てないようにしましょう。
また、風通しの悪い場所ではカイガラムシが発生しやすくなります。
硬く締まった株に育てるためにも日当たりや風通しには特に注意しましょう。
【水やり】
成長期の夏は土が乾いたらたっぷりと水やりします。
直射日光の当たる場所では真夏は毎日水やりしても問題ありません。むしろ梅雨明け以降は雨ざらしにし、雨風に当てた方が調子よく育ちます。
秋に入り涼しくなってきたら徐々に水やりの回数と量を減らし、葉が落ち始めた頃から春までは完全に断水します。
春になると葉や花芽が徐々に展開し始めますが、いきなり沢山水やりせず、少しづつ水やりの回数と量を増やしていきます。
梅雨が明けるまでは、土が完全に乾いて数日おいてから天気の良い日に水やりするようにします。
【肥料】
成長期の夏に薄めた液肥を与えます。
用土によく醗酵した有機質肥料や、マグァンプKなどの緩効性肥料をごく少量混ぜ込んでおいても良いと思います。
【適温】
パキポディウム・デカリーはパキポディウムの中でも寒さに弱い種のため、冬は暖かいところで管理します。
葉を落とした後の休眠期も、表皮の下の葉緑素で光合成を行って寒さに対する体力を静かにつけています。
休眠中もなるべく日光にあて、日中に鉢内と植物自体の温度を上げると耐寒性も増します。