Pachypodium geayi
亜阿相界
グレイッシュな亜阿相界
マダガスカル南西部の標高の低い乾燥林が主な自生地で、自生地では高さ6-7mの高さにまで成長する大型種。
種小名の 'Geayi' は20世紀初めのフランス人多肉植物コレクター、ゲアイ氏(Geay)の名をとって命名されたようです。
和名には “亜阿相界”(ああそうかい)という、ダジャレのような名前がつけられているのですが、古い多肉植物の本によると、これは原産地であるマダガスカルがアジア(亜細亜)とアフリカ(阿弗利加)の間にある場所(亜 + 阿 + 相界)ということから名づけられたとのこと。
全身から長く鋭いトゲをビッシリ生やした株姿が特徴で、多肉植物をよく知らない人にはよくサボテンと間違われてしまいます。
幹の先端の成長点が傷つかないかぎり、基本的には分枝せずにまっすぐと1本立ちで成長する柱状種です。
成長期になると、幹の先端付近から細く長い葉を伸ばします。
葉は灰色がかった緑色をしており、表面にはうっすらと微毛が生えていて、日光によく当てると葉の中心部の白い葉脈がほんのりピンク色に染まります。
花は青みを帯びた白い花を咲かせるのですが、かなりの大株にならないと開花しません。
どうしても花が見たい場合は数mの大きさにまで育てる必要がありそうです、、、
とてもよく似た仲間で 'Pachypodium lamerei'(パキポディウム・ラメレイ)という種がおり、両種はよく区別されず混合して扱われることが多くあります。
小株のうちはほとんど見分けがつかないのですが、基本的な見分け方としては葉の色で区別できます。
ゲアイーに比べてラメレイの葉は明るい緑色をしており、葉の中心の葉脈もピンクに染まることはありません。また、ラメレイの葉は表面に微毛も生えないので判別に困ったときはこの点に注意して見てみて下さい。
大きく成長すると、ゲアイーの特徴であるトゲは綺麗になくなり、ツルっとした表皮になり、まるで別の植物のような見た目になります。
マダガスカルを訪れた際に自生地の株を見たときは、あまりに見た目が違うのでゲアイーとは気づかなかったぐらいです。
とても丈夫な種で、寒い季節を除いて屋外に雨ざらしで放置しておくとぐんぐんと成長してくれるので、パキポディウムの入門種としても最適な株。
【科・属】
Apocynaceae Pachypodium
キョウチクトウ科パキポディウム属
【原産地】
マダガスカル南西部
【置き場所】
一年を通して直射日光のよくあたる場所で管理します。
パキポディウムの仲間を栽培する上で日光はとても重要です。
日光が不足すると幹や枝が徒長しやすくなり、日光不足の状態で長時間栽培すると根腐れを起こしたり、株の内部から腐敗しやすくなります。
パキポディウム・ゲアイーは寒さに弱いので、冬場でも日光のよく当たる場所で管理し、寒さに当てないようにしましょう。
また、風通しの悪い場所ではカイガラムシが発生しやすくなります。
硬く締まった株に育てるためにも日当たりや風通しには特に注意しましょう。
【水やり】
成長期の夏は土が乾いたらたっぷりと水やりします。
直射日光の当たる場所では真夏は毎日水やりしても問題ありません。むしろ梅雨明け以降は雨ざらしにし、雨風に当てた方が調子よく育ちます。
秋に入り涼しくなってきたら徐々に水やりの回数と量を減らし、葉が落ち始めた頃から春までは完全に断水します。
春になると葉や花芽が徐々に展開し始めますが、いきなり沢山水やりせず、少しづつ水やりの回数と量を増やしていきます。
梅雨が明けるまでは、土が完全に乾いて数日おいてから天気の良い日に水やりするようにします。
【肥料】
成長期の夏に薄めた液肥を与えます。
用土によく醗酵した有機質肥料や、マグァンプKなどの緩効性肥料をごく少量混ぜ込んでおいても良いと思います。
【適温】
パキポディウム・ゲアイーは寒さに弱いため、冬は暖かいところで管理します。
葉を落とした後の休眠期も、表皮の下の葉緑素で光合成を行って寒さに対する体力を静かにつけています。
休眠中もなるべく日光にあて、日中に鉢内と植物自体の温度を上げると耐寒性も増します。