Euphorbia ambovombensis
ユーフォルビア・アンボボンベンシス
バランスよく育ったユーフォルビア・アンボボンベンシス
マダガスカル - フィアナランツァ州のアンブブンベ(Ambovombe)のみが原産地として知られています。
乾性林に点在する灌木の下の陰になったような箇所に自生しています。
種小名の 'ambovombensis'(アンボボンベンシス) は言うまでもなく、唯一の自生地であるアンブブンベ(Ambovombe)に由来しています。
舌を噛みそうなほど言いにくいですね。
1987年に新種として記載された比較的新しい種で、塊根を形成する中型種です。
塊根性のユーフォルビアとしては比較的大きく育ち、成熟した株は塊根の直径10cm、枝を含めた株の高さは30cmほどになることもあるとか。
球形から卵形のぽっこりした塊根が特徴で、塊根からは枝を放射状に伸ばします。
丸みを帯びた枝の先端からは、革質の暗緑色をした菱卵系の葉を広げます。
葉のフチはやや波打っており、日光に当たると波打ちが少し強くなります。
成長期がピークに差し掛かると、淡い緑色から明るい茶色をした地味な花を咲かせます。
発券された当初は良く似た見た目をした同属の 'Euphorbia decaryi'(ユーフォルビア・デカリー:ちび花キリン)の地域変異とされたようですが、枝や葉の形状、そして杯状花序(サイアチア)の明確な違いがあったため、別種とされました。
なお、発見された当初から非常に限られた範囲でしか発見されず、かつ現地の環境破壊や、心ない園芸家の違法収集によって原産地の個体数は絶滅寸前になりました。
現在はワシントン条約の付属 Iに分類され、厳重な保護対象となっています。
幸いにもユーフォルビア・アンボボンベンシスは容易に開花するので、栽培家によって増やされた個体がまれに出回ります。
この種に限った話ではありませんが、入手された方はそのような状況を鑑みて大事に育ててあげてください。
【科・属】
Euphorbiaceae Euphorbia
トウダイグサ科ユーフォルビア属
【原産地】
マダガスカル - フィアナランツァ州 アンブブンベ(Ambovombe)
【置き場所】
年間を通して適度に遮光した明るく風通しの良い場所で管理します。
塊根から枝を伸ばすタイプのユーフォルビアは、日光が不足した場合や、風通しが悪い場合に枝が細長く徒長してしまうため注意が必要です。
また、暗い場所で管理し続けると軟弱な株となり、塊根が腐ってしまうこともあります。
ただしユーフォルビア・アンボボンベンシスは強い日光を嫌うため、寒冷紗を使ったり、日照時間を調整すると葉の色を美しく保つことができます。
葉の色や株の状態を見ながら、適切な明るさの下で管理しましょう。
日当たりや通風があまり確保できない場合でも、扇風機などで風を送ると徒長はある程度防ぐことができます。
【水やり】
成長期である気温の高い季節は用土が完全に乾ききる前に水やりをします。
成長期は水を好みますが、頻繁に水やりしすぎると枝が長く伸びすぎてしまうことがあるので注意しましょう。
気温が下がり始めたころから徐々に量と回数を減らし、晩秋から春までは断水気味に管理します。
ただしユーフォルビアは根張りが弱く、長期間にわたって完全に断水すると根の細根が枯れてしまい、細根の再生に時間がかかるようです。
休眠期の冬でも月に2-3回、土を軽く湿らす程度に水やりし、細根の枯死を予防すると良いかもしれません。
その際は天気の良い午前中に行い、夜までにはほぼ乾いている程度にしましょう。
ちなみにマダガスカル最南端付近は年間を通して適度に雨も降るため、完全な乾季がありません。
そのため、この一帯に自生する塊根性のユーフォルビアは植物の生理上、“休眠する”という概念自体がない場合があり、寒くなっても葉を落とさない場合があります。
葉を落とさないまま長期間断水すると徐々に塊根部分に貯めていた水分を使い果たし、塊根がヘコみ、最悪の場合はそのまま枯死することもあります。
もし寒くなってきても葉を落とす気配がない場合は、栽培温度を高めに保ち、少量の水やりを行うようにすると良い場合もあります。
【肥料】
塊根から枝を伸ばすタイプのユーフォルビアは、肥料を与えると枝が間延びしやすくなるため、控えめに与えます。
成長はゆっくりになりますが、なるべく時間をかけて育てたほうが締まった良い株になるので、肥料は控えめにしましょう。
成長期の夏に微量元素が不足しない程度に、ごく薄めた液肥を与えます。用土によく醗酵した有機質や、マグァンプKなどの緩効性肥料を少量混ぜ込んでおいても良いと思います。
【適温】
ユーフォルビア・アンボボンベンシスは寒さに非常に弱いため、冬は暖かい場所で管理します。
葉を落とす気配がない場合は、ごく少量の水やりをする必要がありますので、高い気温を確保しましょう。
成長が鈍る寒い季節も適度に日光にあて、日中に鉢内と植物自体の温度を上げると耐寒性も増します。