Tylecodon cacalioides
鐘鬼
勢いある一株
南アフリカとナミビア国境付近のスワートバーグ山脈(Groot Swartberg)南方から、インド洋沿岸部にかけて広がる乾燥地帯、リトル・カルー(Little Karoo)の東部が原産です。
種小名の 'cacalioides' は“カカリア(キク科植物)に似た”という意味があります。長く細い花軸がカカリアに似ているからでしょうか?
主幹からどんどん枝別れしながら上に向かって成長するタイプのベンケイソウ科の塊根種で、50-60cmほどの高さにまで成長する中型種です。
緑がかった銀白色の葉は先端の尖った円筒状をしており、この葉もチレコドン・カカリオイデスの大きな特徴の一つ。
葉が脱落すると、葉柄の部分が大きな突起となって残る面白い特徴があります。葉のない季節はまるで動物の太い背骨のようにも見えるチレコドンらしい株。
また葉が枯れはじめたころになると、とても長い花軸を伸ばし黄色く小さなラッパ状の花を咲かせます。
とても良く似た仲間に 'Tylecodon wallichii'(奇峰錦)という種がおり、パッと見た感じでは区別がつきません。
葉の形状や、分岐した株姿、幹や枝の突起などそっくりで、多肉植物専門店でも両者はよく混合して販売されています。
主観ですが、葉が脱落した跡の突起はカカリオイデスの方が大きく、ワリチーはそこまで大きくならない印象があります。
古くから知られたチレコドン属の塊根種には、妖怪のような面白い和名がつけられている場合が多いのですが、チレコドン・カカリオイデスにも“鐘鬼”というそれらしい和名が存在します。
“鐘鬼”とは、どうやら道教系の神さまのことのようです。何でも長い髭が特徴らしいので、チレコドン・カカリオイデスの細長く密集した葉っぱを髭にでも見立てたのでしょうか、、、?
【科・属】
Crassulaceae Tylecodon
ベンケイソウ科チレコドン属
【原産地】
ナミビア、南アフリカ
【置き場所】
成長期である秋から春にかけては、直射日光のよく当たる場所で管理します。
寒い季節は雪が常に降り積もっているような厳冬地を除いて、屋外でも管理可能ですが、その際は雨や雪が直接かからない場所で管理しましょう。
また冷たい風が常に当たる場所だと、いくら冬型とはいえ葉が枯れ込んだり落ちる場合がありますので注意しましょう。
暖かくなってくると葉が落ち始めるので、その頃から少し遮光をし、風通しの良い場所で管理します。
夏の蒸し暑さに弱いので休眠中もなるべく蒸らさず涼しく過ごさせます。
【水やり】
夏の終わり頃の涼しくなってきた頃に徐々に葉が芽吹きだしてきますので、その頃から少しづつ水やりを開始します。
その際もいきなりたくさん水をあげると腐りやすいので、少しづつ水やりします。
また、チレコドン・カカリオイデスは水が多すぎると枝が長く徒長しやすくなるので、丈の詰まった株にするには水やりは控えめにします。
春から初夏にかけて葉が落ち始めたころから徐々に水を控え、夏は完全に断水します。
チレコドン・カカリオイデスは大きな株でも、暑い時期に水をあげると腐ってしまうことがありますので注意しましょう。
【肥料】
成長期の初秋や春に数度、微量元素が不足しない程度に薄めた液肥を与えます。
用土によく醗酵した有機質や、マグァンプKなどの緩効性肥料を少量混ぜ込んでおいても良いと思います。
【適温】
チレコドン・カカリオイデスは涼しい季節に成長する植物のため、寒さには強いほうです。
夏の蒸し暑さに気をつけ、暑い季節は涼しい場所で管理しましょう。