Adromischus poellnitzianus
神想曲
独特の姿をした“神想曲”こと、アドロミスクス・ポエルニツィアヌス
南アフリカ - 東ケープ州中央に広がる高原が原産で、小さな丘陵の斜面の岩場やゴロ石の間に自生しています。
種小名の 'poellnitzianus' は、ドイツの多肉植物専門家、カール・フォン・ペルニッツ氏(Karl von Poellnitz)の名をとって命名されました。
和名には“神想曲”という、非常に幻想的な名前が与えられています。
毛むくじゃらの幹を持ったとてもユニークなアドロミスクスで、幹の部分は日本にも自生しているシュロヤシ(棕櫚)のような印象もあります。
幹に生えた剛毛は明るい茶色をしており、ゴワゴワとした硬い質感をしています。
幹の先端からは明るいエメラルドグリーンの非常に多肉質な葉を展開します。
葉の表面はうっすらと粉吹いたようにとても細かい繊毛が生えています。
葉の形状は“ヘラ”のように先端部分がつぶれており、フチがやや波打ったようにカールしています。
春先になると長い花茎を伸ばし、そこからベルのような形状の白っぽい花を咲かせます。
花茎は株の大きさに対してとても長く、30cmほどの長さにまでなることがあります。
花が枯れたあともしばらく残り続けるので、邪魔な場合はカットしても問題ありません。
基本的に涼しい季節に成長する冬型種ですが性質は非常に強健で、暑い季節でもへこたれず、めったなことでは枯れません。
大きく幹立ちするまではかなりの年月が必要ですが、剛毛だらけの幹が林立した古株は得も言われぬ魅力があります。
なお、学者によっては同属の 'Adromischus cristatus var. clavifolius'(インディアン・クラブ)のシノニム(同種異名)とされる場合もあります。
確かに毛むくじゃらなところは似ていますが、葉の形状も全く異なるので、素人目には別種や変種に見えてしまいますね。
【科・属】
Crassulaceae Adromischus
ベンケイソウ科アドロミスクス属
【原産地】
南アフリカ - 東ケープ州
【置き場所】
成長期である秋から春までは日光のよく当たる場所で管理します。
日光が弱いと、葉や枝が徒長しやすくなるので成長期は日光によくあてましょう。
日差しの強くなる夏は、直射日光下では葉や茎が焼けてしまう場合があるので、適度に遮光した環境で管理しましょう。
蒸し暑さに弱いので、夏は風通しの良い涼しい場所で管理します。
通風があまり確保できない場合でも、扇風機などで風を送ると暑さによるダメージを減らすことができます。
【水やり】
成長期の秋と春は土が乾いたらたっぷりと水やりします。
アドロミスクス・ポエルニツィアヌスは涼しい季節に成長しますが、寒さが厳しくなる厳冬期は水やりを少なめにします。
蒸し暑くなり始めた頃から徐々に水やりを控え、涼しくなるまでは断水気味に管理します。
暑い時期は基本的に断水しますが、月に1、2回ごく少量の水やりをすると細根の枯死が防げます。
その際は湿度の少ない夕方以降に用土を軽く湿らす程度に水やりし、朝までには用土が乾いているぐらいを目安にしましょう。
【肥料】
成長期の秋に薄めた液肥を与えます。
用土によく醗酵した有機質肥料や、マグァンプKなどの緩効性肥料をごく少量混ぜ込んでおいても良いと思います。
【適温】
アドロミスクス・ポエルニツィアヌスは涼しい季節に成長する植物のため、寒さには強いほうです。
夏の蒸し暑さに気をつけ、暑い季節は涼しい場所で管理しましょう。