Haworthia bobii
ハオルチア・ボビー
毛だらけの強烈な個性を持った小型希少種、ハオルチア・ボビー
南アフリカ - 西ケープ州インファンタ(Infanta)のごく一部の地域のみが原産として知られています。
ケープタウン北部を流れるブレーダ川下流沿いの、個人農場敷地内にある石だらけの低い丘に自生しています。
種小名の 'bobii' は、アメリカ - カリフォルニア州パウウェイ在住のハオルチア愛好家、ボブ・ケント氏(Bob Kent)の名をとって命名されました。
近年、様々な変種・亜種を含めた新種が発見されたハオルチア属の中でも、最もユニークな特徴を持った種とも言えるハオルチアです。
発見された当時は 'Haworthia mirabilis'(ハオルチア・ミラビリス)の変種、'Haworthia mirabilis var. pilosa'(ハオルチア・ミラビリス変種ピローサ)という種名が与えられましたが、2004年に変種から独立し、'Haworthia bobii'(ハオルチア・ボビー) という種名に変更されました。
自然環境下におけるサイズは小さく、直径3-4cmほどにしかならない小型種です。
自生地では小さな石や草の間に埋まるように自生しているようです。
元々、基本種とされていたハオルチア・ミラビリスの変種・亜種の多くは、“窓”と呼ばれる葉表の半透明の部分にツルッと光沢と張りがあり、また窓部分の模様に様々な特徴を持っています。
その“窓”部分こそがミラビリスグループの人気の源とも言えますが、本種はその窓部分に軟毛が生えるという強烈な個性を持っています。
半透明で長さ3-4mmの軟毛は表面を覆うようにびっしりと生えています。
いったいなぜこのような特徴を持つようになったのか?そんな興味が湧いてくる不思議な種です。
葉の色は赤味がかった暗い緑色で、錆びた鉄のような渋い色合いをしています。
なお自然環境下では葉の数は少なく、4-6枚程度しか葉を出さないようです。
初夏から夏にかけて、多くのハオルチア属ど同様に長い花茎を伸ばし、クリーム色がかったベル状の小さな花を咲かせます。
元々、極めて限られた地域のごく一部にしか自生していないうえ、小型種ゆえに成長も遅いのが難点です。
また本種は基本的に単頭で育ち、株元から仔吹くことはないため、ほとんど出回ることはない希少な種です。
交配種では窓部分に毛が生えたハオルチアはいくつか知られていますが、人の手が加えられていない原種でこのような特徴を持った本種は、珍品好きの方には堪らない一種です。
【科・属】
Liliaceae Haworthia
ユリ科ハオルチア属
【原産地】
南アフリカ - 西ケープ州インファンタ(Infanta)
【置き場所】
年間を通して明るい場所で管理します。
ハオルチア・ボビーは強い日光が長時間当たると葉焼けする場合がありますので、適度に遮光した環境で管理しましょう。
ただし日照が少なかったり遮光が強すぎると葉が徒長して間延びし、だらしない株姿になってしまいます。
目安としては、【日照時間は長いけど適度に遮光した場所】をイメージしてください。
ハオルチアの肥培育成手法として蒸し作りがよく行われますが、ハオルチア・ボビーに関しては硬作りした方が良い株姿になると思います。
また、根腐れや害虫予防の観点からも適度な通風のある環境で管理しましょう。
【水やり】
ハオルチア・ボビーは春と秋の夜間涼しく、日中の気温が適度に高い季節に成長します。
成長期は用土が乾燥してからたっぷり水やりします。
締まった株にするためには、その他のハオルチアよりもやや辛めに水やりしてください。
真夏は一時的に成長が止まります。
気温の高い時期に用土が過湿状態になると、根腐れしたり、葉が腐りやすくなります。
気温の高い時期は涼しい夜間に軽く水やりする程度にしてください。
また、厳冬期も成長が止まります。
暖かくなるまでは断水気味に管理し、葉が極端にへこまない程度に水やりしてください。
厳冬期に水やりする場合は、気温の高い好天が続く日を狙って、午前中に軽く水やりする程度にしてください。
気温の低くなる夜間に用土が過湿状態となると、根腐れを起こしやすくなります。
【肥料】
成長期に数回、ごく薄めた液肥を与えます。
用土によく醗酵した有機質肥料や、緩効性肥料をごく少量混ぜ込んでおいても良いと思います。
ハオルチア・ボビーは肥料が多すぎると葉が徒長しやすくなります。
肥料は微量元素が不足しない程度に与えてください。
【適温】
ハオルチア・ボビーは寒さには比較的強く、適度な日照があり、風が当たらない場所であれば0度以上あれば越冬できます。
ただし、活着前の株や小さな株は暖かい場所で管理した方が安全に越冬できます。
また、蒸し暑さに弱いところがありますので、夏は涼しい環境で管理しましょう。