Euphorbia suzannae-marnierae
ユーフォルビア・スザンナエ・マルニエラエ
素晴らしい株姿をもったユーフォルビア・スザンナエ・マルニエラエ
マダガスカル南部 - トゥリアーラ州アンボボンベ地域のアンボアサリ(Amboasary)が原産です。
乾性林の灌木の下の茂みなどに自生しています。
種小名の 'suzannae-marnierae' は、フランスの由緒ある私立植物園の支配人、スザンナ・マルニエ・ラポストール夫人(Madame Suzanna Marnier-Lapostolle)の名をとって命名されました。
1996年に新種として記載された新しい種で、塊根を有する小型種です。
塊根は直径7-8cm、枝は高さ20-25cmほどの大きさに成長します。
一目で目につくまん丸な塊根と、そこから放射状に伸びる枝が特徴です。
塊根の表皮にはウリのようなひび割れた模様が入り、風格を感じる独特の雰囲気があります。
自生地では小さな株のうちは塊根は地中に埋まっていますが、成長するに従い地表に露出してくるようです。
塊根の頂点付近からは主幹となる太い枝を伸ばし、そこから四方八方に向かって枝を伸ばします。
枝は水平方向に広がるように伸び、その先端からは緑色がかった銅色の槍先状の葉を伸ばします。
葉はやや肉厚で、フチは緩やかに波打つようにウェーブしています。
この姿だけでも十分に魅力的ですが、ユーフォルビア・スザンナエ・マルニエラエの魅力は開花期に顕著に現れます。
ダークピンクをしたベル状の花を鈴なりに咲かせ、さらに不思議な姿を見せてくれます。
同種の 'Euphorbia warinigiae'(ユーフォルビア・ワリンギアエ)や 'Euphorbia warinigiae'(ユーフォルビア・アンボボンベンシス)によく良く似た見た目をしていますが、葉の形状や塊根の模様、花の色形などが異なるため、慣れてくると見分けるのは簡単です。
【科・属】
Euphorbiaceae Euphorbia
トウダイグサ科ユーフォルビア属
【原産地】
マダガスカル南部 - アンボボンベ盆地
【置き場所】
年間を通して日当たりの良い明るく風通しの良い場所で管理します。
塊根から枝を伸ばすタイプのユーフォルビアは、日光が不足した場合や、風通しが悪い場合に枝が細長く徒長してしまうため注意が必要です。
また、暗い場所で管理し続けると軟弱な株となり、塊根が腐ってしまうこともあります。
ただし、あまりに日光が強い場所では枝や葉が焼けてしまう場合もあるので、その際は若干遮光します。
その場合でも風通しは確保しましょう。
日当たりや通風があまり確保できない場合でも、扇風機などで風を送ると徒長はある程度防ぐことができます。
【水やり】
成長期である気温の高い季節は用土が完全に乾ききる前に水やりをします。
成長期は水を好みますが、頻繁に水やりしすぎると枝が長く伸びすぎてしまうことがあるので注意しましょう。
気温が下がり始めたころから徐々に量と回数を減らし、晩秋から春までは断水気味に管理します。
ただしユーフォルビアは根張りが弱く、長期間にわたって完全に断水すると根の細根が枯れてしまい、細根の再生に時間がかかるようです。
休眠期の冬でも月に2-3回、土を軽く湿らす程度に水やりし、細根の枯死を予防すると良いかもしれません。
その際は天気の良い午前中に行い、夜までにはほぼ乾いている程度にしましょう。
ちなみにマダガスカル最南端付近は年間を通して適度に雨も降るため、完全な乾季がありません。
そのため、この一帯に自生する塊根性のユーフォルビアは植物の生理上、“休眠する”という概念自体がない場合があり、寒くなっても葉を落とさない場合があります。
葉を落とさないまま長期間断水すると徐々に塊根部分に貯めていた水分を使い果たし、塊根がヘコみ、最悪の場合はそのまま枯死することもあります。
もし寒くなってきても葉を落とす気配がない場合は、栽培温度を高めに保ち、少量の水やりを行うようにすると良い場合もあります。
【肥料】
塊根から枝を伸ばすタイプのユーフォルビアは、肥料を与えると枝が間延びしやすくなるため、控えめに与えます。
成長はゆっくりになりますが、なるべく時間をかけて育てたほうが締まった良い株になるので、肥料は控えめにしましょう。
成長期の夏に微量元素が不足しない程度に、ごく薄めた液肥を与えます。用土によく醗酵した有機質や、マグァンプKなどの緩効性肥料を少量混ぜ込んでおいても良いと思います。
【適温】
ユーフォルビア・スザンナエ・マルニエラエは寒さに非常に弱いため、冬は暖かい場所で管理します。
休眠中も適度に日光にあて、日中に鉢内と植物自体の温度を上げると耐寒性も増します。