Euphorbia schizacantha
ユーフォルビア・シザカンサ
妖艶な魅力をもった希少ユーフォルビア、ユーフォルビア・シザカンサ
ソマリア、エチオピア、ケニア北部が原産です。広い範囲に渡って自生していますが個体群は少なく、点在するように分布しています。
標高200-600mほどの石灰岩土壌の乾燥した低木林に自生しています。
なお自生地では強烈な太陽下ではなく、アカシアやコンミフォラの低木の陰などに生えていることが多いようです。
種小名の 'schizacantha' はギリシャ語で“分かれたトゲの”という意味があり、'schizo'(分岐、分かれた)+ 'acantha'(トゲ)の合成語です。
非常に美しい姿をした緑枝系のユーフォルビアの一種で、成熟した株は50-70cmほどの高さに成長します。
また数多く存在する多肉性ユーフォルビアの中でも、その希少性、栽培難易度の高さでユーフォルビアマニアの間でも密かに知られている種でもあります。
全身から生えた鋭いトゲと、幹や枝に入った美しい模様が最大の特徴です。
種小名どおり、先端が2つに分れた鋭いトゲを全身にまとっていて、細い枝ながら荒々しい雰囲気があります。
鮮やかな緑色をした幹や枝は、濃い緑から赤っぽい色した複雑な模様で覆われています。
毒々しいとも言えるこの派手な模様にマニア心がくすぐられますね。
なおこの模様は日光が強いとより赤味が強く出るようです。
トゲといい、毒虫のような模様といい全身で自らの危険性をアピールしているようです。
ちなみに実際にユーフォルビア・シザカンサの体液(ラテックス)の毒性は強く、自生地ではかつて漁の際の魚毒として使われていたこともあるそうです。
ある程度の大きさになると幹の先端から枝を長く伸ばし始めます。
また成熟してくると黄色から濃い血のように赤い色の花を咲かせます。
東アフリカの広い地域に自生しているためか、花の色は自生地によって個体差があるようです。
成長は遅く、夏の気温が高い短い期間しか成長しません。
また過湿を嫌いますが、根が弱いわりに水切れも嫌うという気難しい性質をしています。
自ら探し出さないと手に入るような種ではありませんが、大株は惚れ惚れするような怪しい魅力を持っているので、興味のある方は栽培にチャレンジしてみてください。
【科・属】
Euphorbiaceae Euphorbia
トウダイグサ科ユーフォルビア属
【原産地】
ソマリア、エチオピア、ケニア北部
【置き場所】
ユーフォルビア・シザカンサは明るい場所を好みますが、強い日光を嫌います。
寒冷紗などで適度に遮光した明るい場所で管理しましょう。
日光が強すぎると枝先が枯れたり、赤茶色に焼けてしまいますので注意しましょう。
遮光を強くするときれいな緑色の模様になりますが、あまり暗い環境だと株自体が弱くなります。
またかなりの乾燥地帯に自生しているため、通風には気をつけましょう。
風通しが確保できない場合は扇風機などで風を送ると効果的です。
【水やり】
ユーフォルビア・シザカンサの成長期は梅雨明け以降の気温のごく高い季節です。
成長期は比較的水分を好みますが、蒸れや過湿を嫌うため乾きやすい鉢・用土、土の量、環境を意識しましょう。
涼しくなるにつれ成長が止まります。
動きが止まってからは、必要最低限の水やりに留めるようにしましょう。
ただし根が弱いため、長期間断水すると細根が枯れ、枯死してしまうことがあります。
これは冬の休眠期でも同様ですので、休眠期でもなるべく気温を高く保ち、月に数度はごく少量の水やりを心がけた方が良いようです。
【肥料】
成長期の夏に微量元素が不足しない程度に、ごく薄めた液肥を与えます。
用土によく醗酵した有機質や、マグァンプKなどの緩効性肥料を少量混ぜ込んでおいても良いと思います。
【適温】
ユーフォルビア・シザカンサは年間を通して気温の高い標高の低い地域に自生しています。
そのため寒さに非常に弱いため、年間を通して最低気温が15度を下回らないよう注意しましょう。
ユーフォルビア・シザカンサのような難物と呼ばれる植物は栽培者それぞれの育て方があると思いますので、こちらの育て方はあくまで参考程度にお考えください。