Euphorbia millii
花キリン
小さくても存在感のある真っ赤な花
マダガスカル - 標高2,000mまでの地域の島全域に渡ってが原産です。
極度に乾燥した場所を除き、ある程度水分のある土壌であればさまざまな場所に自生しています。
種小名の 'milii' は、この植物を発見したレユニオン諸島の知事、バレン・ミリアス氏(Baren Milius)の名をとって命名されました。
日本では“花キリン”という、非常に有名な名前で古くから親しまれています。
海外では和名の“花キリン”に代わる通称名として、'Crown-of-thorns'(イバラの冠) と呼ばれています。
どうやらキリストが被っていたとされる薔薇の冠に見立てているようです。
多肉質のユーフォルビアの中でもっとも有名な種と言っても過言ではない種ではないでしょうか?
古くから日本でも園芸植物として馴染みが深く、昭和前期の栽培書にも記載されているほどです。
トゲに覆われた細い幹と真っ赤な花が特徴で、最大で1.5mほどの高さにまで成長します。
花の色は基本的に赤色ですが、白、黄色、クリーム色、緑など様々な変わり花を咲かせることもある興味深い種です。
また、非常の多くの変種があり、人工的に改良が重ねられていない 'Euphorbia millii' の変種だけでも数十種ほどあります。
品種改良も盛んで、主に東南アジアのタイを中心に複雑な色をした品種、とても大きな花を咲かせる品種など様々な種が作り出されています。
一見ではまったく別の種に見えるようなものもあって、とても花キリンには見えずびっくりしてしまいます。
寒さに弱いマダガスカル産の多肉植物が多い中でも丈夫な性質をしているのも普及している要因のひとつでしょう。
また、挿し木で簡単に増やすこともできます。
日本に出回っているほとんどのハナキリンは挿し木繁殖されたものですが、挿し木株は縦に長く伸びやすくなります。
それに対し実生で育った株は、小さいうちから分岐しやすく、こんもりとした良い形に育ちます。
たしかに挿し木株に比べてあまり縦に伸びず、カットしなくてもよく分岐してくれる優良な株に育ってくれています。
まれに“チャボ花キリン”という名称で出回っている種も、実は単に実生株なのではないかと思っています。
一般の花屋やホームセンターなどでも見かけることが多い“ハナキリン”ですが、その多くは改良された園芸品種で、原種は小さく赤い花を咲かせます。
品種改良された株のような派手さはないのですが、原種のこじんまりした花もなかなか滋味溢れて魅力があります。
【科・属】
Euphorbiaceae Euphorbia
トウダイグサ科ユーフォルビア属
【原産地】
マダガスカル
【置き場所】
一年を通して日光のよくあたる、風通しの良い場所で管理します。
日当たりが悪いと花付きも悪くなってしまいます。
花キリンタイプのユーフォルビアは日光が不足した場合や、風通しが悪い場合に枝が細長く徒長してしまうため注意が必要です。
日当たりや通風があまり確保できない場合でも、扇風機などで風を送ると徒長はある程度防ぐことができます。
【水やり】
成長期は土が完全に乾いてから水やりをします。
花キリンタイプのユーフォルビアは水やりの頻度が多いと枝が徒長しやすいので、水はなるべく控えめの方が丈の詰まった良い株になります。水切れよりも与えすぎに注意しましょう。
気温が下がり始めたころから徐々に量と回数を減らし、葉が落ち始めた晩秋から春までは断水気味に管理します。
ただしユーフォルビアは根張りが弱く、長期間にわたって完全に断水すると根の細根が枯れてしまい、細根の再生に時間がかかるようです。
休眠期の冬でも月に2-3回、土を軽く湿らす程度に水やりし、細根の枯死を予防すると良いかもしれません。その際は天気の良い午前中に行い、夜までにはほぼ乾いている程度にしましょう。
加温している温室では冬になっても休眠に入らない場合もありますので、その際は適度に水やりします。
【肥料】
花キリンタイプのユーフォルビアは、肥料を与えると枝が間延びしやすくなるため、控えめに与えます。
成長はゆっくりになりますが、なるべく時間をかけて持ち込んだほうが締まった良い株になるので、肥料は控えめにしましょう。
成長期の夏に微量元素が不足しない程度に、ごく薄めた液肥を与えます。用土によく醗酵した有機質や、マグァンプKなどの緩効性肥料を少量混ぜ込んでおいても良いと思います。
【適温】
花キリンは寒さに弱いため、秋以降は暖かい場所で管理します。
休眠中もなるべく日光にあて、日中に鉢内と植物自体の温度を上げると耐寒性も増します。