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Euphorbia melanohydrata

多宝塔

Euphorbia melanohydrata 多宝塔

異形の株姿が魅力の難物、ユーフォルビア・メラノヒドラタ

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物として知られる希少種、“ユーフォルビア・メラノヒドラタ”です。


南アフリカとナミビアの国境に広がる極度の乾燥地帯、リフタスフェルトが原産。
国境を流れるオレンジ川沿いのベースバンク(Beesbank)付近が分布地として知られており、開けた平野部の砂や砂礫混じりの痩せた土地に自生しています。

種小名の 'melanohydrata' はラテン語で“黒い水”という意味があり、'melano-'(黒いの接頭辞)+ 'hydra'(水)の合成語です。
非常に珍しい種なのですが、“多宝塔”という和名が与えられています。

円柱から円錐状をした中型のユーフォルビアで、高さ30-40cmほどの大きさに成長します。
先端付近が膨れたこん棒のような形状になり、根元は徐々に木質化していきます。

青緑色をした幹からは、太く短い先が尖った枝を無数に伸ばします。
枝の先端は成長に伴って枯れ始め、ツノのような見た目となります。

年月を経た古株はこんもりと繁った木のような株姿となり、得も言われぬ趣きのある姿へと成長します。

なお極地に自生するユーフォルビアに共通した特徴どおり成長は極めて遅く、ある程度の大きさに成長すると、2-3年程度では目立った成長は実感できないほどのゆっくりとした成長スピードとなります。
自生地にあるような立派な株になるには数十年単位の年月がかかるのではないでしょうか、、、?

ちなみに種小名の“黒い水”の意味ですが、メラノヒドラタの標本個体となる株が発見されたスヴァルトヴォーテール(Swartwater)の地名にちなんでいます。
アフリカーンス語で“黒い水”という意味がある地名らしいのですが、それをラテン語に直し、種小名としたようです。
なお、スヴァルトヴォーテールは現在の自生地からは遠く離れたリンポポ州に位置しています。
かつては南アフリカ北東部にも自生していたのでしょうか?

近年になってユーフォルビア・メラノヒドラタの亜種として、'Euphorbia melanohydrata subsp. conica'(ユーフォルビア・メラノヒドラタ亜種 コニカ)というやや小型の種が発見されました。
この亜種はごく限られた地域に少数の個体群のみ確認されているようです。


【科・属】

Euphorbiaceae Euphorbia
トウダイグサ科ユーフォルビア属

【原産地】

南アフリカ - 北ケープ州 ベースバンク(Beesbank)

【置き場所】

一年を通して適度な日光のあたる、風通しの良い場所で管理します。
日光が不足した場合や、風通しが悪い場合に枝が細長く徒長してしまうため注意が必要です。
締まった良い株に育てるためにも日当たりと通風はなるべく確保しましょう。

日当たりや通風があまり確保できない場合でも、扇風機などで風を送ると徒長はある程度防ぐことができます。

また、ユーフォルビア・メラノヒドラタは涼しい季節に成長するため、蒸し暑さに弱いところがあります。
休眠期である夏は風通しのよい場所で管理しましょう。

【水やり】

ユーフォルビア・メラノヒドラタの自生している場所は、冬季にごく少量の雨の降る地域です。
そのため、ユーフォルビア・メラノヒドラタも春や秋の涼しい季節に成長します。

成長期である春と秋は土が完全に乾いてから軽く水やりをします。
メラノヒドラタのような柱状に育つタコモノ系ユーフォルビアは、体内に水をたくさん貯めることができる為、水やりは少なめにしましょう。

水やりが多すぎると徒長したり根腐れを起こしやすくなります。水切れよりも与えすぎに注意します。
また、古株ほど水やりの間隔はあけるようにしましょう。小さな株よりも大きな株の方が突然腐ってしまうことがあります。

気温が上がり始めたころから徐々に量と回数を減らし、初夏から涼しくなるまでは断水気味に管理します。
ただしユーフォルビアは根張りが弱く、長期間にわたって完全に断水すると根の細根が枯れてしまい、細根の再生に時間がかかるようです。
休眠期の夏も月に2-3回、土を軽く湿らす程度に水やりし、細根の枯死を予防すると良いかもしれません。

夏は日中に水やりすると蒸れて調子を崩すことがあるため、涼しい日の夕方以降に軽く水やりする程度にとどめましょう。

【肥料】

成長期の春から秋に微量元素が不足しない程度に、ごく薄めた液肥を与えます。
用土によく醗酵した有機質や、マグァンプKなどの緩効性肥料を少量混ぜ込んでおいても良いと思います。

【適温】

ユーフォルビア・メラノヒドラタはユーフォルビアの中では比較的寒さには強いほうですが、冬は暖かいところで管理した方が安全です。
寒さよりも夏の蒸し暑さに弱いため、気温の高い季節は涼しく過ごさせましょう。