Euphorbia itremensis
ユーフォルビア・イトレメンシス
ゴツゴツとした肌も魅力のユーフォルビア・イトレメンシス
マダガスカル - フィアナランツォア州アンバトフィナンドラアナ(Ambatofinandrahana)近郊が原産です。
標高1,500mほどに位置するイトレモ山が主な自生地で、赤味を帯びた石英岩の土壌に自生しています。
種小名の 'itremensis' は、その名のとおり産地であるイトレモ(itremo)から命名されました。
比較的近年になってから記載された種で(2001年記載)、地中に塊根を形成するコーデックスタイプのユーフォルビアです。
成熟した株は塊根の直径が15cm、分岐した枝も含めると直径30cmほどの大きさに成長します。
茶褐色をした塊根は自生地では完全に地中にうまっており、太い主根から塊根がよじれるように分岐しながら成長します。
ユーフォルビア・イトレメンシスは個体による株の形状が全く異なるため、個体差が楽しめる種です。
分岐した塊根の成長点は僅かに地表に露出し、そこから逆卵形の葉を展開します。
葉は薄い緑色で、個体によっては葉のフチが赤く彩られます。
成長期に入ると塊根の先端から小さなサイアチアの花を咲かせます。
花の色は白からピンク色で、個体によって色みが若干異なります。
近似種として自生地が同じイトレモで株姿が良く似た 'Euphorbia quartziticola'(ユーフォルビア・クアルトズィティコラ)が知られています。
ユーフォルビア・クアルトズィティコラは本種に比べて花の色がレモンイエローで、葉も厚みがあり表面に光沢がある点で見分けることができます。
【科・属】
Euphorbiaceae Euphorbia
トウダイグサ科ユーフォルビア属
【原産地】
マダガスカル - フィアナランツォア州アンバトフィナンドラアナ(Ambatofinandrahana)
【置き場所】
年間を通して日光のよくあたる、風通しの良い場所で管理します。
本種の塊根は本来は地中に埋まっており、日光に当たることはありません。
そのため塊根を露出して栽培している場合、塊根に強い日光を長時間当てると株が弱ることがあります。
【葉はふんだんに日光に当て、塊根はなるべく日光に当てない】がベストです。
そのため、活着前の株や小さい株はなるべくなら塊根は埋めて栽培しましょう。
普段塊根は埋めて栽培し、観賞したいときのみ容易に取り除ける表土を用いる等の工夫をしても良いかもしれません。
塊根を露出して栽培する場合は寒冷紗等で適度に遮光したり、日光に当たる時間を調節してください。
ただし日光不足の暗い環境では塊根が腐りやすくなりますので、その点は注意してください。
【水やり】
成長期である春から秋にかけては用土が完全に乾燥する前に水を与えます。
ただし気温の低い時期や、用土が長時間過度に湿った状態が続くと塊根が腐ります。
塊根性のユーフォルビアは体内に水分をたくさん蓄えることができます。一般的なユーフォルビアよりもやや乾燥気味に管理してください。
とはいえ、根腐れを恐れて乾燥させすぎても細根が枯れたり、葉を落としてしまいます。
用土はなるべく水はけの良いものを用いつつ、ごく僅かな湿度が保てるような工夫をしましょう。
気温が下がり始めたころから徐々に量と回数を減らし、晩秋から春までは断水気味に管理します。
ただしユーフォルビアは根張りが弱く、長期間にわたって完全に断水すると根の細根が枯れてしまい、細根の再生に時間がかかるようです。
休眠期の冬でも月に2-3回、土を軽く湿らす程度に水やりし、細根の枯死を予防すると良いかもしれません。
その際は天気の良い午前中に行い、夜までにはほぼ乾いている程度にしましょう。
加温している温室では冬になっても休眠に入らない場合もありますので、その際は適度に水やりします。
【肥料】
塊根性のユーフォルビアは強い肥料は必要ありません。
成長期の夏に微量元素が不足しない程度に、成長期にごく薄めた液肥を与えます。
用土によく醗酵した有機質や、マグァンプKなどの緩効性肥料を少量混ぜ込んでおいても良いと思います。
【適温】
ユーフォルビア・イトレメンシスは寒さに非常に弱いので冬は暖かい場所で管理します。
休眠中も鉢や用土の表面をなるべく日光にあて、日中に鉢内と植物自体の温度を上げると耐寒性も増します。