Euphorbia abdelkuri cv. 'Damask'
ユーフォルビア・アブデルクリ “ダマスク”
ゴツゴツとした不思議な肌
原種である 'Euphorbia abdelkuri'(ユーフォルビア・アブデルクリ)も相当マニアックな珍種ですが、本種はそのアブデルクリの斑入り個体という珍品です。
『とても植物とは思えない』という言葉は、多肉植物を紹介する際によく使われますが、本種ほどその言葉がぴったりの種はなかなか見当たりません。
ピンクに染まったデコボコしたいびつなその姿は、いったい何と例えれば良いのか、、、
一番形状的に近い存在は『ナマコ』でしょうか、、?
一般的に斑入りというと葉や枝の一部に白や黄色の斑が入ることが多いのですが、本種は全身に斑が入って完全に葉緑素が欠乏しています。
そのため単体で生きることができず、主に 'Euphorbia lactea'(ユーフォルビア・ラクテア)などに接がれた状態で栽培されています。
園芸店でよく見かける、サボテンの緋牡丹などと同じですね。
園芸品種を表す 'cv.' の後につけられた 'Damask' は、どうやら淡紅色をしたバラの原種、ダマスクローズ(Rosa damascena)の色に例えられているようです。
原種のアブデルクリは難物として知られており、本種も接がれているとはいえ栽培には若干気をつける必要があります。
ただし調子よく育てることができると継ぎ穂の途中から仔株を吹き、ますます奇妙な見た目へと成長します。
葉緑素を持っていないため緋牡丹同様に継ぎ降ろすこともできず、台木がないと生きていくことができない儚い存在ですが、多肉植物の奥深さを感じさせてくれる貴重な存在です。
【科・属】
Euphorbiaceae Euphorbia
トウダイグサ科ユーフォルビア属
【原産地】
園芸品種
【置き場所】
一年を通して明るい場所で管理します。
原種のユーフォルビア・アブデルクリは真夏の直射日光下でも焼けることはありませんが、本種は日焼けしやすく、直射日光に長時間当てると色が白くなりダメージを受けることがあります。
ただし台木でしか光合成ができないため、適度な日光は必要です。
日光の当たる時間や寒冷紗などで適度な明るさを確保しつつ育てましょう。
また、原種どうように湿度の高い蒸し暑い場所を嫌うので、風通しには注意しましょう。
【水やり】
成長期の夏は土が完全に乾いてから水やりをします。
多くの場合、台木は成長の早い丈夫な種が使われることが多いので成長期は長時間水を切らさないように水やりします。
涼しくなってきたころから徐々に水やりの量と回数を減らし、本格的な寒さがきたころから暖かくなる春までは断水気味に管理します。
使われている台木の性質にもよりますが、寒い季節は活動を止める種が多いので、高温が維持できる場合を除いて休眠させた方が安全です。
【肥料】
成長期の夏にごく薄めた液肥や置き肥を与えます。
用土によく醗酵した有機質や、マグァンプKなどの緩効性肥料を少量混ぜ込んでおいても良いと思います。
【適温】
原種のユーフォルビア・アブデルクリ同様に寒さにとても弱いので冬は暖かいところで管理します。
最低気温はなるべく10度を切らないようにしましょう。