Trichodiadema hallii
トリコディアデマ・ハリー
美しい花が特徴の天然の盆栽植物、トリコディアデマ・ハリー
南アフリカ - 西ケープ州のカリッツドープ（Calitzdorp）からラディスミス（Ladismith）にかけてが原産です。
標高200?540mまでの範囲の草原や、残丘の岩場などに自生しています。
種小名の 'hallii' は、イギリス出身の植物学者であり、この植物の発見者でもあるハリー・ホール氏（Mr. Hall Harry）に由来しています。
リトープスやコノフィツムの属するハマミズナ科の植物で、古株でも株の直径は20-25cmほどにしかならない小型種です。
株が小さいうちは、細い枝から葉を展開するだけのあまり面白味のある姿ではありませんが、成長に伴い幹や太い枝を形成します。
主幹となる幹から横臥するように枝を伸ばし、こんもりとした小さな樹木のような形状に成長します。
適切な環境で育った株は特に剪定などをしなくても盆栽のような見事な株姿となる点が本種の特徴で、多肉植物盆栽の素材としても最適です。
多くのメセンを擁するハマミズナ科の植物だけあり、多肉質な葉を高密度に展開します。
やや青みがかった緑色の葉は1cmほどの大きさで、先端が細くなった円筒状をしています。
また葉の先端からは非常に軟らかいトゲのような毛が生えています。
晩秋から初冬にかけて、紫がかったピンク色の大きな花を無数に咲かせます。
トリコディアデマ・ハリーは開花性が良く、充実した株であれば毎年花を咲かせてくれます。
花は午前中のみ開花し午後は閉じてしまいますが、寿命が長く、2-3週間は開花を楽しめます。
性質は非常に強健で、厳冬地を除いて通年屋外で栽培することも可能です。
元々小型種のため、成長は遅く直径10cmを超えるサイズに育てるには10年以上の年月が必要です。
なお本種は以前、'Trichodiadema sp. H4255' や、'Trichodiadema sp. aff. hallii' といった産地番号、類似種表記で流通していましたが、近年では 'Trichodiadema hallii'（トリコディアデマ・ハリー） として扱われています。
【科・属】
Aizoaceae Trichodiadema
ハマミズナ科トリコディアデマ属
【原産地】
南アフリカ - 西ケープ州カリッツドープ（Calitzdorp）からラディスミス（Ladismith）にかけて
【置き場所】
年間を通して日光の当たる明るい場所で管理してください。
日当たりの良い場所を確保できれば通年屋外での栽培も可能です。
トリコディアデマ・ハリーは寒さにも強いので、暖かくて光の少ない屋内よりは、寒くても日光の当たる屋外で管理した方が健康に育ちます。
強健な植物のため多少の日光不足にも耐えることができますが、日光が不足すると枝が長くのび徒長することがあります。
また日光が不足すると開花しにくくなります。
【水やり】
用土が乾燥してからたっぷり水やりします。
トリコディアデマ・ハリーは落葉せず、年間を通して葉をつけているため休眠期は存在しません。
通年、長期間断水しないよう適度な間隔で水やりしてください。
通気性の良い鉢や用土を使い、日当たりの良い場所で管理可能な場合は年間を通して雨ざらしで育てても問題ありません。
【肥料】
成長期の初秋や春に数度、微量元素が不足しない程度に薄めた液肥を与えます。
用土によく醗酵した有機質肥料や、緩効性化成肥料を少量混ぜ込んでおいても良いと思います。
【適温】
トリコディアデマ・ハリーは暑さ・寒さに耐えることができます。
乾燥気味の状態であれば、冬季は-4度程度までの気温に耐えることが可能です。
ただし寒さに当てる場合、日中はふんだんに日光に当て、株の体力が回復するようにしてください。
【その他】
トリコディアデマ・ハリーは地上部はゆっくり成長しますが、地中の細根がよく発達するため、根詰まりを起こしやすく、定期的な植え替えが有効です。
数年おきに初春か初秋ごろに根を適度に整理し、植え替えを行ってください。
