Commiphora myrrha
コンミフォラ・ミルラ
希少な没薬植物、コンミフォラ・ミルラ
アラビア半島の国、オマーン、イエメンと、紅海対岸のアフリカ大陸北東の国々 - ジブチ、ソマリア、エチオピアが主な原産地です。
標高250-1,300mの石灰岩土壌の乾燥した荒れ地や、アカシア類の疎林などに自生しています。
自生地はいずれも年間降雨量が200-250mmしかない極度の乾燥地帯です。
種小名の 'myrrha' は、ヘブライ語で“苦い”を意味する、'mur, murr' に由来しています。
最大で高さ4mほどまでに成長する灌木状のコーデックスプランツです。
コンミフォラ・ミルラから採れる精油が古代エジプトのミイラ作りの原料として使われ“ミイラ”の語源になったともされていることでも有名です。
かっちりとした硬質の幹を持ち、幹の表面は銀白色から青白い表皮に覆われています。
この薄い紙のような表皮は年月を経るとともに剥がれ落ちていきます。
古い表皮が剥がれ落ちた後は、滑らかな新しい表皮が現れます。
新しい表皮はうっすらと緑色に見えますが、これは薄皮を通して光合成をしているためです。
幹の先端付近からは横に向かって枝を広げますが、枝には細いトゲが沢山生えています。
成長期になると、枝のところどころから卵形をした淡い緑色の葉を展開します。
成長は極めて遅く、精油が採れるような大きさに育つには何百年という年月が必要なため、コンミフォラ・ミルラの精油は古代より希少品として珍重されてきました。
神聖な儀式で用いられる香として使用される没薬としてはもちろん、非常に強い殺菌効果を持った精油は香料、医薬品、覚醒剤などにも用いられていたそうです。
なお 'myrrh'(ミルラ)と呼ばれる植物は、カンラン科ミルラノキ属(Burseraceae Commiphora)に含まれる種のことを指していますが、コンミフォラ・ミルラはその中でも最も品質の高い精油が採れることで有名です。
コンミフォラ・ミルラ以外のコンミフォラ属から採れた精油から作られた没薬は 'false myrrh'(偽の没薬)とも呼ばれるほどです。
日本国内で精油が採れるほどの大きさに育てるのはほぼ不可能と思われますが、“ミイラ”の語源、ミイラ作りの原材料となる植物である、いうロマン溢れる珍種です。
【科・属】
Burseraceae Commiphora
カンラン科ミルラノキ属
【原産地】
オマーン、イエメン、ジブチ、ソマリア、エチオピア
【置き場所】
年間を通して直射日光のよく当たるで管理します。
コンミフォラ・ミルラは日光を非常に好むため、栽培環境下でもっとも日当たりの良い場所で育てましょう。
日光が不足すると枝が徒長したり、病気や虫に弱い貧弱な株になってしまいます。
また風通しの悪い場所も嫌うため、通風にも注意しましょう。
成長期の春から秋にかけては屋外で雨ざらしにして育てると丈夫な株に育ちます。
【水やり】
成長期の夏は土が乾いたらたっぷりと水やりします。
株が小さいうちは体内に貯水できる水分が少ないため、比較的水を欲しがります。
あまり乾燥させすぎると、そのまま枯れてしまうため注意しましょう。
秋に入り涼しくなってきたら徐々に水やりの回数と量を減らし、葉が落ち始めた頃から春までは断水気味に管理します。
休眠中も月に数回、軽く用土を湿らせると細かい根が完全に枯死することを防げる場合があります。
寒い時期に水やりする場合は好天の続く気温が高い日を狙って午前中にごく少量の水やりし、気温の下がる夜間までにはほぼ乾いている程度にします。
春になると葉が徐々に展開し始めますが、いきなり沢山水やりせず、少しづつ水やりの回数と量を増やしていきます。
梅雨が明けるまでは、土が完全に乾いて数日おいてから天気の良い日に水やりするようにします。
【肥料】
成長期の夏に薄めた液肥を与えます。
用土によく醗酵した有機質肥料や、マグァンプKなどの緩効性肥料をごく少量混ぜ込んでおいても良いと思います。
【適温】
コンミフォラ・ミルラは寒さとても弱いため、冬は暖かい場所で管理します。
また、休眠中もなるべく日光にあて、日中に鉢内と植物自体の温度を上げると耐寒性も増します。