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Adenium socotranum

アデニウム・ソコトラナム

Adenium socotranum アデニウム・ソコトラナム

美しい花と特徴的な樹形で人気のアデニウム属の王様、アデニウム・ソコトラナム

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しい花と特徴的な樹形で人気のアデニウム属の王様、“アデニウム・ソコトラナム”です。


種小名の 'socotranum' が表すとおり、イエメンの神秘の島、ソコトラ島にのみ自生しており、その希少性、成熟した株の姿は多肉植物の最高峰ともいえる素晴らしい種です。

樹齢数百年という大きな株は直径2.5m、高さ4mにまで成長することもあるそうで、その素晴らしい姿は国際多肉植物協会(I.S.I.J)の発行している“多肉植物写真集 第一巻”で確認できます。是非見て下さい!


アデニウム属には 'Adenium obesum'(砂漠の薔薇) という最も普及している種がいますが、ソコトラナムはオベスムにも似ています。(アデニウム・オベスムの亜種 = Adenium obesum ssp. socotranumとして扱われることもあるよう。)
若株のうちは似ているのでなかなか見分けるのが難しいです。
長年両者を栽培して観察して分かったこと、また書籍や文献で色々調べた結果、以下のように見分けることができます。

幼苗のうちはオベスムと同じような樹形をしていますが、ある程度成長すると樹形に違いが出てきます。オベスムは縦方向に育ちやすく、でっぷりとティアドロップ型の樹形になりやすいのに比べ、ソコトラナムは幹の丈はあまり伸びず、「四角く」なることが多いようです。そして主幹から長い枝を何本も伸ばすのが特徴。(前述の多肉植物写真集 第一巻に掲載されている現地株はどれもそのような樹形をしています)


海外のフォーラムではソコトラナムを横から見たときの樹形を 'Castle'(城)、'Crown'(王冠) のようだ、と表現していて、まさにそのとおりの樹形になりやすいようです。
ただし、アデニウムは固体によって様々な形状に育つので、一概に全ての株が先に述べた特徴に当てはまるとは限らないのが判別を難しくしているところ。

その他の特徴として、ソコトラナムの葉っぱはオベスムに比べて楕円形で中央に白い葉脈が入り、表面にはうっすらと微毛が生えています。
また、花にも若干の違いがあり、オベスムは花弁が楕円形の丸っこい花を咲かすのに対し、ソコトラナムの先端が鋭く尖った花を咲かせます。


長年、外国人の立ち入りが禁止されていたソコトラ島は近年やっと立ち入りが許可されるようになったものの、貴重な生態系を守るために全ての動植物の島外への持ち出しが禁止されています。
そのため、ソコトラ島の植物を入手するには海外のナーセリーで実生された株や種を入手するしかないのが現状です。

そのため、ソコトラナムも他のアデニウムに比べると入手しにくいのですが、近年は実生で増やされた株が出回るようになってきました。
ただし、ソコトラ島という特殊な風土が原産のために栽培は丈夫なオベスムに比べて少し難しく、特に寒さにはとても弱いのが難点。
もし手に入れた人は大事に育ててください。


※最近、タイで生産されたソコトラナム(通称:タイ・ソコトラナム)がたまに日本に入ってきますが、そのほとんどはオベスムやアラビクムと何代にも渡って、やみくもに交雑したものです。
特にアデニウムの園芸品種の作出が盛んなタイでは交雑が起こりやすく、その中でソコトラナムっぽい特徴がある株をソコトラナムとして売っているだけなので、純血のソコトラナムが欲しい方は注意しましょう。


【科・属】

Apocynaceae Adenium
キョウチクトウ科アデニウム属

【原産地】

イエメン - ソコトラ島

【置き場所】

年間を通して日光のよくあたる場所で管理します。

アデニウムの仲間を栽培する上で日光はとても重要な要素で、日光が不足すると幹や枝が徒長してしまい軟弱な株になってしまいます。
日光不足の状態で長時間栽培すると根腐れを起こしたり、株の内部から腐敗しやすくなります。

またアデニウムの栽培では風通しも重要です。
風通しの悪い場所ではカイガラムシ等の害虫や病気が発生しやすくなります。
硬く締まった株に育てるためにも日当たりや風通しには特に注意しましょう。


【水やり】

新芽の展開が始まって以降の春から初秋にかけては用土が完全に乾燥する前にたっぷりと水やりします。
アデニウム・ソコトラナムは成長期は水を好むため、水切れしないよう注意してください。
初夏から初秋にかけては日光のよく当たる屋外で雨ざらしで育てるとガッチリした株に育ちます。

秋に入り、涼しくなってきたら徐々に水やりの回数と量を減らし、葉が落ち始めた頃から春まで断水気味に管理します。

休眠中の冬もある程度の温度や日光が確保できる環境の場合、月に数度ごく少量の水やりで細根の枯死を防ぐと翌春以降の立ち上がりが良くなります。
冬に水を与える場合は、暖かく天気の良い好天が続く日を狙い、午前中に用土をほんの少しだけ湿らす程度水やりし、気温が下がる夜にはほぼ乾いている程度にしましょう。

春になり芽吹きだした際は、いきなり沢山水やりせず、少しづつ水やりの回数と量を増やしていきます。

【肥料】

成長期の夏に薄めた液肥を与えます。
用土によく醗酵した有機質肥料や、緩効性の化成肥料を混ぜ込んでおくことも有効です。

【適温】

アデニウム・ソコトラナムはアデニウムの中でも特に寒さに弱いので冬は最低気温10度以上の暖かいところで管理します。
葉を落とした後の休眠期も、硬い表皮の下の葉緑素で光合成を行って寒さに対する体力を静かにつけています。
休眠中もなるべく日光にあて、日中に鉢内と植物自体の温度を上げると耐寒性も増します。