Trachyandra tortilis
トラキアンドラ・トルチリス
強烈な見た目をした球根植物、トラキアンドラ・トルチリス
南アフリカ - 北ケープ州からナミビアにかけての乾燥地帯、リフタスフェルト(Richtersveld)から、西ケープ州の 'Fynbos'(フィンボス) と呼ばれる地中海性気候の灌木植生地域が原産です。
シルトと呼ばれる砂質の沈泥土壌や、乾燥した川床の石の間などに自生しています。
属名の 'Trachyandra' は、ラテン語で“ザラザラした葯(がく)の”という意味があり、trachy(粗い、ザラついた)+ andra (男、葯)の合成語です。
種小名の 'tortilis' は、ラテン語で“ウェーブした、捻じれた”という意味になります。
アロエやユリの仲間に近いツルボラン科の球根植物で、冬になると地中の球根から葉を伸ばします。
ウネウネと波打った独特の葉を持った奇妙な外見が最大の特徴。
海の中で揺らめく海藻をそのままフリーズドライで固めたような面白い形状をしています。
葉の長さは最大で20cmほどの長さにまで達します。
葉の表面はうっすらと粉吹いたように白味がかったグリーンをしていますが、よく日光に当てると赤茶色や灰色になります。
強い日光と風に当てると葉のウェーブがより強くなり、ますます奇妙な見た目となりますが、自生地と大きく環境の異なる日本ではなかなか強いウェーブを出すのは難しいのが現状です。
成長がピークを過ぎると、いくつにも分岐した円錐花序の灰色がかったピンク色の花を咲かせます。
成長した株ほどウェーブが強く葉の幅も広くなりますが、成長は遅く、強いウェーブを出すまでは根気良く育てる必要があります。
【科・属】
Asphodelaceae Trachyandra
ツルボラン科トラキアンドラ属
【原産地】
南アフリカ - 北ケープ州、西ケープ州
【置き場所】
葉が生え始めてからは、日光のよく当たる明るい場所で管理します。
トラキアンドラ・トルチリスは通風の良い環境を好むので、風通しの良い場所で管理しましょう。
日光や風通しが弱いと、葉が徒長してだらしない姿になったり、葉の縮れ具合が弱くなります。
また、成長期も蒸し暑く密閉された温室などで管理すると、球根が腐ることもあるので注意しましょう。
完全な冬型種であるトラキアンドラ・トルチリスは高温と蒸し暑さに弱いので、休眠に入る夏は風通しの良い涼しい場所で管理します。
通風があまり確保できない場合でも、扇風機などで風を送ると暑さによるダメージを減らすことができます。
【水やり】
成長期の秋と春は土が乾いてからたっぷりと水やりします。
あまり頻繁に水やりすると葉の縮れ具合が緩やかになることもあるので、水のやりすぎには注意しましょう。
水やりはなるべく控えた方が縮れ具合が強くなります。
トラキアンドラ・トルチリスは冬型種ですが、寒さが厳しくなる厳冬期は若干水やりを少なめにします。
蒸し暑くなり始めた頃から徐々に水やりを控え、葉が枯れた以降は涼しくなるまでは断水して管理します。
休眠中は基本的に断水しますが、月に1、2回ごく少量の水やりをすると球根の枯死が防げます。
その際はよく風のとおる涼しい夕方以降に用土を軽く湿らす程度に水やりし、朝までには用土が乾いているぐらいを目安にしましょう。
【肥料】
成長期の秋に薄めた液肥を与えます。
用土によく醗酵した有機質肥料や、マグァンプKなどの緩効性肥料をごく少量混ぜ込んでおいても良いと思います。
【適温】
トラキアンドラ・トルチリスは涼しい季節に成長する植物のため、寒さには強いほうです。
寒さよりも夏の蒸し暑さに気をつけ、暑い季節は涼しい場所で管理しましょう。