Oxalis palmifrons
オキザリス・パルミフロンス
美しい葉を持った冬型球根、オキザリス・パルミフロンス
南アフリカ - 西ケープ州のラングズバーグ(Laingsburg)からロッゲベルド(Roggeveld)にかけてが原産です。
冬季降雨地帯の半砂漠状の高原に自生しています。
種小名の 'palmifrons' は、ラテン語で“手のひらのような葉”という意味があり、'palmate'(手のひら状の)+ 'frond'(木の葉)の合成語です。
英語で“椰子(ヤシ)”を表す 'palm'(パーム) も、ラテン語の 'palma' に由来しており、ヤシの葉の形状が手のひらに似ていることからそのように呼ばれています。
その名が表すとおり、まるでミニチュアのヤシのような葉が特徴の冬型球根植物です。
地中に埋まった球根から茎を伸ばし、ロゼット状に広がるように葉を展開します。
最大の特徴である葉はまさにヤシのようで、20ほどまで細かく切れ込みます。
球根が成長し、株が充実するに従って切れ込みの数は増えるようです。
美しい青緑色の葉の表面には長い微毛も生えており、光に当たるとうっすらと発光しているような神秘的な雰囲気となります。
株姿といい、葉の色形といい、某腐海に生えていそうですね。
ちなみにこの微毛は自生地に照りつける太陽の光を反射し、葉からの水分の蒸散を防ぐためとも考えられています。
葉っぱだけでなく、地面から生える茎もオキザリス・パルミフロンスの特徴のひとつです。
カイワレ大根のような茎は赤く染まり、青緑色の葉とのコントラストがとても映えます。
カタバミ科の植物は成長も早く自家受粉で増えるために雑草扱いされることが多いのですが、このオキザリス・パルミフロンスは成長はとても遅く、球根が充実してくるまでに長い年月がかかります。
またオキザリス・パルミフロンスは白やピンク色の非常に綺麗な花を咲かせますが、栽培環境下ではなかなか開花しないため、種をとることも困難です。
ですが成長も遅く、増えにくいという欠点がこの植物の希少性をあげているのかもしれませんね。
【科・属】
Oxalidaceae Oxalis
カタバミ科オキザリス属
【原産地】
南アフリカ - 西ケープ州 ラングズバーグ(Laingsburg)からロッゲベルド(Roggeveld)にかけて
【置き場所】
成長期である秋から春までは明るい環境で管理します。
日光が弱いと、茎が徒長してだらしない姿になります。
オキザリス・パルミフロンスは日光によく当てると葉が赤く染まりますが、これは正常なストレス反応です。
あまり日光が強い場合は葉が焼けてしまう場合がありますが、基本的にはよく日光に当てましょう。
また風通しが悪い場合も茎が伸びてしまいます。
オキザリス・パルミフロンスのみっちりと林立した株姿を楽しむためにも適度な日光と通風は確保しましょう。
完全な冬型種であるオキザリス・パルミフロンスは高温と蒸し暑さに弱いので、休眠に入る夏は風通しの良い涼しい場所で管理します。
通風があまり確保できない場合でも、扇風機などで風を送ると暑さによるダメージを減らすことができます。
【水やり】
成長期の秋と春は土が乾ききる前にたっぷりと水やりします。
旺盛に成長している場合は意外に水を好むため、土が完全に乾燥しきらないように注意しましょう。
オキザリス・パルミフロンスは冬型種ですが、寒さが厳しくなる厳冬期は若干水やりを少なめにします。
蒸し暑くなり始めた頃から徐々に水やりを控え、葉が枯れた以降は涼しくなるまでは断水気味に管理します。
暑い時期は基本的に断水しますが、月に1、2回ごく少量の水やりをすると小さな塊根の枯死が防げます。
その際はよく風のとおる涼しい夕方以降に用土を軽く湿らす程度に水やりし、朝までには用土が乾いているぐらいを目安にしましょう。
【肥料】
成長期の秋に薄めた液肥を与えます。
用土によく醗酵した有機質肥料や、マグァンプKなどの緩効性肥料をごく少量混ぜ込んでおいても良いと思います。
【適温】
オキザリス・パルミフロンスは涼しい季節に成長する植物のため、寒さには強いほうです。
寒さよりも夏の蒸し暑さに気をつけ、暑い季節は涼しい場所で管理しましょう。