Eriospermum erinum
エリオスペルマム・エリナム
用土から葉を展開したエリオスペルマム・エリナム
南アフリカ - 北ケープ州ボッケベルト山脈の山腹に位置する町、ニーウヴォウトヴル(Nieuwoudtville)近郊が原産。
とても限られた狭い範囲の丘の斜面や、平原の灌木地帯に自生しています。
自生地は標高1,000m前後の高原地帯で、大西洋を流れる寒流のベンゲラ海流の影響を受け、自生地は冬季の気温が0度以下になることもある冷涼な地域です。
種小名の 'erinum' は、古代ギリシアの植物学者であるペダニウス・ディオスコリデス(Pedanius Dioscorides)が名づけた 'Erinos' という名の植物( =Erinus alpinus subsp. hispanicus')の、繊毛が生えた葉に特徴が似ていることから命名されたようです。
涼しい季節になると細い繊毛に覆われた葉を地表に出す球根(根茎)植物で、葉の大きさは大きくても2-3cmほどにしかなりません。
葉の表面からにょきにょきと生えた突起がエリナムの大きな特徴です。
その奇妙な葉の形状は強烈なインパクトで、エリオスペルマムマニアにはたまらない姿です。
ちなみにこの突起状のものは、付属器(enation:エネーション)と呼ばれる葉の表面組織が大きく成長したもので、エリオスペルマムの仲間ではよく見られる特徴のひとつです。
栽培下ではなかなか開花することはないのですが、葉が枯れ、休眠に入る前に細い針金のような花茎を伸ばし、白く小さな花を咲かせます。
成長はとても遅く、植え付けて2-3年経ってから植え替えても根茎の大きさはあまり変わっていないほど。
もともと小型種なので根茎もさほど大きくならないのかもしれません。
自生地は近年で大規模な環境破壊が起こっているらしく、小麦畑や羊毛産業の牧場になり、かなりの個体群が失われたとのことです。
運よく入手できた方は大事に育ててあげてください。
【科・属】
Liliaceae Eriospermum
ユリ科エリオスペルマム属
【原産地】
南アフリカ - 北ケープ州 ニーウヴォウトヴル(Nieuwoudtville)近郊
【置き場所】
エリオスペルマム・エリナムは典型的な冬型種のため、夏は遮光をして風通しの良い、明るい日陰で管理します。
その際は雨のあたらない場所で管理しましょう。
成長期である秋から春にかけては、直射日光のたっぷりあたる場所で管理します。
日光が不足すると茎が徒長しやすくなりますので気をつけましょう。
エリオスペルマム・エリナムは地表すれすれに葉が出ているぐらいが理想的な形だと思います。
【水やり】
春頃に葉が枯れ始めたころから徐々に水を控え、夏は断水気味に管理します。
夏の間は細根の枯死を防ぐために月に1-2回、涼しい日の夜にごく少量だけ水を与えて管理しています。
涼しくなってくると地中の根茎から葉が少しづつ出てくるので、その頃から少しづつ水やりを開始します。
成長期は土が完全に乾く前に水やりするように管理しましょう。水が足りないと葉の先端から枯れ始めることがあるため、成長期は適度な間隔で灌水します。
【肥料】
成長期に数度、ごく薄めた液肥を与えます。
用土によく醗酵した有機質肥料や、マグァンプKなどの緩効性肥料をごく少量混ぜ込んでおいても良いと思います。
【適温】
冬型種のため寒さには強いほうですが、最低気温が5度を切るようになった頃からは室内で管理した方が安全です。
夏の蒸し暑さに弱いので、夏は涼しい場所で管理しましょう。