XANTHORRHOEA
グラスツリー
属名の 'Xanthorrhoea' は“黄色い流れ”という意味があり、ラテン語の 'xanthos'(黄色い、黄金の)+ 'rhœa'(流れる)を合わせた合成語です。
これは本属の樹脂が黄色いことから命名されました。
英名ではその独特の見た目から 'Grass Tree'(グラスツリー)、または 'Black Boy'(ブラックボーイ)と呼ばれています。
全30種(分類によっては32種)、全てがオーストラリア原産で、非常にユニークな特徴を持った単子葉植物です。
最も小さな種で高さ1m、大型種になると6mほどの高さにまで成長します。
ほとんどの種は幹を形成し、幹の頂点から 'Grass'(草)のような細く硬い葉を無数に伸ばします。
細く硬質の葉は乾燥した地域で水分の蒸散を抑え、強い日差しから身を守るためと考えられています。
ザンソロエアの多くは乾燥した平原や疎林に自生していますが、オーストラリアでは乾季にブッシュファイヤーと呼ばれる自然発火が発生します。
野火によって焼かれ、ザンソロエアの幹は真黒に焦げます。
平原に立つその姿をアボリジニに例え、'Black Boy'(ブラックボーイ) という通称が与えられたようです。
(差別を連想させるため、現在は 'Grass Tree' の通称が一般的です。)
野火によって焼かれた後、ザンソロエアは樹脂を染み出して燃え残った葉の基部を凝固させ、硬くしっかりした幹を少しづつ形成していきます。
葉の基部で覆われた幹は空気層も含み、樹脂でコーティングされているため、野火にも耐えることが可能です。
またザンソロエアは野火によって発生した煙に含まれるエチレンガスに反応して花芽を形成するとされています。
野火の後は土壌に養分も多く含まれ、日光を遮る草も焼け、発芽した幼苗の育成に適しているためにそのような進化を遂げたようです。
特殊な環境で生き延びるため、さまざまな方法で適応し進化を遂げたザンソロエアは、その独特の姿から園芸家の憧れの的です。
ザンソロエアはどの種も非常に成長が遅く、一年で1-2cmほどしか成長しません。
反対に寿命は長く、600-800年ほどは生きるとされています。
成長が非常に遅いうえに移植に弱いためか日本ではほとんど流通していませんが、暑さ・寒さにも強く、比較的日本の気候にも順応しやすいため、一部の植物マニアの間でじわじわと人気が出てきています。
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