Euphorbia turbiniformis
ユーフォルビア・ツルビニフォルミス
光沢のあるつるっとした容姿です
ソマリア北部 - ヌガール州 (Nugaal) の海岸からわずか5kmに位置する小さな町、エイル(Eyl)近郊が原産。
このエイル周辺の限られた地域は多肉植物の中でも極めて珍しい種が自生するホットスポットとして有名で、超珍種ユーフォルビアやガガイモの故郷でもあります。
種小名の 'turbiniformis' はラテン語の 'turb'(コマ) + formis(姿、形)の合成語で、“コマのような形の”という意味があります。
平たいまんじゅうのような形をした球形のユーフォルビアで、大きく育っても5-6cmほどの小型種です。
ツルっとした透明感のある表皮をしており、表面は硬く、プラスチックでコーティングされたようなしっかりとした質感をしています。
最大の魅力はなんといってもその表皮に浮き出た幾何学的な模様。
チベット密教の曼陀羅のような、吸い込まれるようなサイケデリック模様が表皮に浮かびあがっています。
ずっと見ているとすっと惹き込まれていくような魅力があります。
あらゆる植物の中でも群を抜いたその姿形はとても植物とは思えません。
ユーフォルビア・ツルビニフォルミスの発見は意外に古く、1929年にイタリアの植物学者エミリオ・キオベンダ(Emilio Chiovenda)が発見しました。
ですが、その後しばらくの間はユーフォルビア・ツルビニフォルミスは文献上の記録だけ残り、実物は誰も見たことがない、という状態が長く続いたようです。
そして1969年に著名な多肉植物研究家ジョン・ラブラノス(John Lavranos)が燃料補給のために一時着陸したエイルの小さな飛行場の脇で再発見したという経緯があります。(このとき、着陸時の休憩わずか10分足らずの時間で発見したそうです。さすが!)
ソマリア半島の限られた地域という特殊な環境が原産のためか、自根での栽培は極めて困難で、一般的には 'Euphorbia lactea' などの丈夫な柱状種に接ぎ木されて栽培されています。
写真で紹介しているこの大株も大きく育った株の台木を短く切り戻し、うまく発根した台木を地面に埋めた株になります。
台木を短くすると株自体の体力がなくなるためか、なかなか発根せずに台木・継ぎ株ともに枯死してしまうことが何度もありましたが、なんとかうまく発根させ維持することができました。
接ぎ木栽培ではやはり違和感を感じる、とういう方はこちらの方法を試してみても良いかも知れません。
ただし、成功率はかなり低いのであしからず。
【科・属】
Euphorbiaceae Euphorbia
トウダイグサ科ユーフォルビア属
【原産地】
ソマリア - ヌガール州 (Nugaal) 、エイル(Eyl)
【置き場所】
ユーフォルビア・ツルビニフォルミスは適度に遮光した明るい場所で管理します。
日光が強すぎると赤茶色に焼けてしまいますので注意しましょう(自生地ではそれが普通のようですが)。
遮光を強くするときれいな緑色になりますが、あまり暗い環境だと株が弱くなるような印象があります。
また、ユーフォルビア・ツルビニフォルミスの自生地は海岸線に近く、遮蔽物が少ないためか一年を通して風の強い地域のようです。
サボテンやハオルチアの栽培方法である蒸し作りではすぐに腐死してしまう可能性があるため、通風には気をつけましょう。
風通しが確保できない場合は扇風機などで風を送ると効果的です。
【水やり】
土が完全に乾いてから水やりをします。
ユーフォルビア・ツルビニフォルミスの自生するエイルは年間降雨量が100mm未満の非常に乾燥した地域です。
水切れよりも与えすぎに注意しましょう。
【肥料】
成長期の夏に微量元素が不足しない程度に、ごく薄めた液肥を与えます。
用土によく醗酵した有機質や、マグァンプKなどの緩効性肥料を少量混ぜ込んでおいても良いと思います。
【適温】
ユーフォルビア・ツルビニフォルミスの自生地はアラビア湾から温かい湿った空気が流れてくるため、年間を通して非常に気温が高く、最低気温が20度を下回ることがありません。
また、雨季・乾季という区分けがないほど雨が少ない地域なので、他の地域に自生しているのユーフォルビアとは異なり、休眠という概念がないようです。
温度については年間を通して20度を下回らないようにしないのがユーフォルビア・ツルビニフォルミスの栽培のコツのように感じました。
涼しくなってきたころから加温した環境で育てるようにすると良いようです。
isla del pescadoではユーフォルビア・ツルビニフォルミスを含め、冬季は低温に弱い種を集めて爬虫類用のパネルヒーターなどで加温して越冬しています。
※上記は自根株、もしくは自根株に性質的に近い台木を埋めて栽培している株の栽培方法です。
継ぎ木されている株はこの限りではありません。水・肥料ともにたくさんあげた方が旺盛に成長し、仔吹きやすくなります。
また、ユーフォルビア・ツルビニフォルミスのような難物と呼ばれる植物は栽培者それぞれの育て方があると思いますので、こちらの育て方はあくまで参考程度にお考えください。