Euphorbia multiceps
多頭キリン
至高のタコモノ、“多頭キリン”ことユーフォルビア・ムルチセプス
南アフリカ南西部 - 大西洋岸に沿って広がる半砂漠地帯、通称 'Succulent Karoo'(カルー多肉植物地域)が原産です。
南はスウェレンダム(Swellendam)、北はステインコフ(Steinkopf)にかけての、大きく開けた乾燥した平原に自生しています。
種小名の 'multiceps' は、ラテン語で“たくさんの頭”という意味があり、 'multi'(複数の)+ 'ceps≒caput'(頭)の合成語です。
日本では学名に倣ってか、“多頭キリン”という明快な和名が与えられています。
種小名や和名からも分るとおり、主幹からたくさんの太く丸っこい短い枝を生やした独特の株姿が特徴。
円錐形のクリスマスツリーのような、なんとも奇妙な造形をしたタコモノユーフォルビアの究極とも言える見事な形状です。
大きく成長した株になると、50-60cmほどの高さにまで成長します。
成長期になるとデコボコとした幹の先端からは細く小さな葉っぱを出しますが、この葉はすぐに落葉してしまいます。
また株が充実してくると、花柄の長い花を咲かせます。
花が枯れた後は花柄が白いトゲのように残り続けますが、この花柄はある程度時間が経つと抜け落ちることが多いようです。
播種してから1-2年ほどで小指ほどの大きさに成長しますが、そこからの成長は遅く、主幹から枝をたくさん出し始めるまでにはゆっくり見守る必要があります。
素晴らしい造形美を誇る多頭キリンですが、栽培は難しく、とくに高温多湿な日本でその株姿を維持し続けるのはベテランの栽培家でも至難の業。
潅水や通風に工夫を凝らして、なんとか栽培方法を確立していきたい種です。
【科・属】
Euphorbiaceae Euphorbia
トウダイグサ科ユーフォルビア属
【原産地】
南アフリカ - 西ケープ州スウェレンダム(Swellendam)から北ケープ州ステインコフ(Steinkopf)にかけて
【置き場所】
一年を通して日光のあたる、風通しの良い場所で管理します。
ユーフォルビア・ムルチセプスは風や日光を遮るものがない、平原地帯に自生しています。
日光が不足すると徒長したり、根腐れを起こしてしまいます。
ただし、湿度や気温が高い日本では直射日光下では株が焼けたり弱ってしまうことが多くあります。
栽培経験上、10-20%ほど遮光した日光が長く当たる環境が一番調子良く育つようです。
またハウス内などの湿度が高く、風通しの悪い環境を嫌います。
ハウス内や室内の通風が悪い場所で管理する場合は扇風機などで送風すると効果的です。
またハウス内などの湿度が高く、風通しの悪い環境を嫌います。
ハウス内や室内の通風が悪い場所で管理する場合は扇風機などで送風すると効果的です。
【水やり】
ユーフォルビア・ムルチセプスは日中の気温が高く、夜間は涼しい春や秋に成長します。
成長期は用土が乾いてから水やりをします。
水やりする際は、湿度が低く、好天が続く日を狙って水やりしましょう。
また水やりは気温の高い日中は避け、涼しい夕方以降に行いましょう。
ユーフォルビア・ムルチセプスのような、難物と言われる種の水やりは他のユーフォルビアよりやや少なめにしましょう。
また、大きく成長した古株ほど水やりの間隔はあけてください。
ユーフォルビア・ムルチセプスは涼しい季節を好みますが、厳冬期は活動が鈍ります。
厳冬期の水やりは辛めに行いましょう。
日本では5月以降の夜間の気温が上がり始める頃に休眠に入ります。
休眠中は断水気味に管理しますが、長期間にわたって完全に断水すると根の細根が枯れてしまい根の再生に時間がかかり、そのまま枯れる場合があります。
休眠中も完全には断水せず、月に1-2回ほど用土を軽く湿らす程度に水やりし、細根の枯死を予防しましょう。
その際は気温の低い涼しい夕方以降に行い、翌朝までにほぼ乾いているぐらいが良いと思います。
【肥料】
ユーフォルビア・ムルチセプスのような球体が群生するタイプのユーフォルビアは肥料を与えると枝が間延びしやすくなるため控めに与えます。
成長期の夏にごく薄めた液肥を軽く与える程度で良いようです。
【適温】
涼しい季節に成長するユーフォルビア・ムルチセプスは寒さには比較的強く、適切な日照時間を確保したうえ、断水した状態なら5度近くまで耐えることができます。
ただし極端な寒さには弱いため、安全に越冬させるためには夜間はハウス内や室内で管理しましょう。
寒さよりもとにかく蒸し暑さを嫌います。
梅雨以降は涼しく過ごせるように工夫してください。