ウネウネした葉と美しい花を持った希少球根植物、“ハエマンサス・クリスプス”です。

南アフリカ - 北ケープ州ステインコフ（steinkopf）から、西ケープ州クランウィリアム（Clanwilliam）、バンラインスドルプ（Vanrhynsdorp）にかけてが原産です。
緩やかな丘陵の斜面や、岩の多い灌木地帯の岩の間、川岸近くのシルトと呼ばれる砂質の沈泥土壌に自生しています。

種小名の 'crispus' は、ラテン語で“縮れた，皺のある”という意味があります。

地中に埋まった塊根から葉を伸ばす冬季生育型のヒガンバナ科の球根植物です。
大型種が有名なハエマンサス属の中では比較的小型種で、葉は10-20cmほどの長さにしか伸びません。

地中に細長い球根を持ち、そこから地表にウネウネとフチが波打った面白い形状の葉を展開します。
なお球根が小さいうちは葉のフチのうねりは緩やかで、球根が成熟するに従ってうねりは強くなっていきます。

葉は濃いグリーンで、葉の裏には茶色い斑点のような模様がうっすら入ります。
葉は基本的に二枚のみ展開し、左右に分れて伸びていきます。

ほとんどの場合は単体（単球）で生育しますが、まれに球根が分球し、群生することもあるようです。

休眠に入った後、翌年に新たな葉を展開し始めるまえに、10-15cmほどの長さの花茎を伸ばし、赤からオレンジ色の非常に美しい花を咲かせます。
カップ状の鮮烈な色合いの花が何もない地面から咲く様子は、惚れ惚れする美しさです。
本種は葉の美しさに注目されがちですが、花の美しさもトップクラスだと思います。
なお個体（自生地域？）によってはピンク色っぽい花を咲かせる場合もあるようです。

一つ残念なのは、本種は成長が非常に遅く、開花までにとても長い年月が必要なところです。
小さな球根から育てた場合10年経っても開花しない、なんてことはザラで、数年に一度植え替えしても球根はほとんど成長していないのではないか、というほどの緩慢な成長具合です。

幸いにも葉の形状は面白いので、開花するまではそのユニークな葉を眺めながら気長に栽培してください。

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【科・属】

Amaryllidaceae Haemanthus
ヒガンバナ科ハエマンサス属

【原産地】

南アフリカ - 北ケープ州ステインコフ（steinkopf）から、西ケープ州クランウィリアム（Clanwilliam）、バンラインスドルプ（Vanrhynsdorp）にかけて

【置き場所】

成長期に入り葉が展開し始めてから休眠に入るまで、日光のよく当たる明るい場所で管理します。
ハエマンサス・クリスプスは日光・通風の良い場所で管理すると、葉のウェーブが強く、締まった株に育ちます。

日光が不足すると葉が徒長し、葉のウェーブも緩やかな締まりのない葉姿になってしまいます。
また、風通しの悪い場所も同様です。

冬型種であるハエマンサス・クリスプスは高温と蒸し暑さに弱いので、休眠期である春から夏は風通しの良い涼しい場所で管理します。
通風があまり確保できない場合でも、扇風機などで風を送ると暑さによるダメージを減らすことができます。

【水やり】

成長期の秋と春は用土が乾燥してから水やりします。
成株への頻繁な水やりは徒長や球根の腐りを誘発しますので、締まった株に育てるには辛めに水やりしましょう。

ハエマンサス・クリスプスは涼しい季節に成長する冬型種ですが、寒さが厳しくなる厳冬期は水やりの量・回数を少なめにします。
蒸し暑くなり始めた頃から徐々に水やりを控え、葉が枯れて涼しくなるまでは断水して管理します。

休眠中は基本的に断水しますが、月に1、2回ごく少量の水やりをすると球根の枯死が防げます。
その際は風のある涼しい夕方以降に用土を軽く湿らす程度に水やりしましょう。
ただし高温期の水やりは球根の腐りを誘発しやすいため、慎重に行ってください。

【肥料】

成長期の秋に薄めた液肥を与えます。
用土によく醗酵した有機質肥料や、緩効性の化成肥料をごく少量混ぜ込んでおいても良いと思います。

【適温】

ハエマンサス・クリスプスは涼しい季節に成長する植物のため、寒さには強いほうです。
ただし、夜間の最低気温が5度を切らないように管理した方が安全に越冬できます。
寒さよりも夏の蒸し暑さに気をつけ、暑い季節は涼しい場所で管理しましょう。

    

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